「世界のバリアフリー絵本展 in あおもり」に寄せて

JBBY世界のバリアフリー絵本展実行委員長
攪上 久子【かくあげ ひさこ】(東京都在住)

絵本の楽しみをバリアフリーに

 日本の子どもたちは、たくさんの絵本に出会える環境にあります。けれど、日本にも本屋さんに行っても、町の図書館に行っても、自分が楽しめる絵本を見つけることのできない子でもたちが大勢います。本を見て、読んで、感じること・・・そのことは誰にでもチャンスがあるべき大切なことだと思います。また、子どもの本の歴史は「子ども」を時代がどう見てきたかの歴史でもあり、今の絵本が子どもにどういうまなざしを向けているかの実証でもあります。いいかえれば、「子どもの本」をつくることによって、子どもの人権を育ててきた歩みがあり、その視点から見ても「障害」のある子どもたちは、いまだ充分な人権を持ちあわせていないことがわかります。

「世界のバリアフリー絵本展」とは・・・

 2003年8月から全国巡回を開始し、現在までに41箇所巡回した(青森は42箇所目)、日本国際児童図書評議会(JBBY)と日本ユニセフ協会主催の絵本展「世界のバリアフリー絵本展」には、世界中から収集された「障害」に対して様々なアプローチを持つ絵本が展示されます。これらの絵本は、世界各国に65以上の支部をもつJBBYの本部、IBBY(国際児童図書評議会)の一部門である、障害児図書資料センター(在ノルウェー)が長年にわたり世界中から収集した4000冊のなかから、IBBY50周年を記念して43タイトルを選りすぐったものです。ノーマライゼーションの理念に基づき、絵本を通じて「障害」のある子どもたちのより一層の社会参加を願っています。
 障害のある子どもの絵本は「For」(「障害」のある子どもたちのために作られた本)「About」(「障害」のある子どもたちを理解するための本)「By」(「障害」のある人たちによって作られた本)の三種類があると考えると分かりやすいです。日本では「For」は出版されているものは10冊前後しかなく、あとはボランティアの手作りで支えられている現状があります。ここにこうした本の状況での日本の一番の課題があります。そこには手間がかかりコストが高く売れないから出版されないという明確な理由があります。製作・流通・普及全てに打ち破らなければ先に進めないたくさんのバリアがあります。
 「About」「By」はたくさんの本が日本でも出版されています。
 この絵本展で紹介されている絵本は9ジャンルに分けられています。
 日本ではほとんど見ることは出来ないような本ばかりです。(日本の絵本は43タイトル中2タイトルのみです。)特に手話がついている絵本・やさしく読める本・絵文字がついている絵本などのアプローチを見ていただきたいです。
  • 身振りで語る(手話つき絵本)
  • プリスやピクトグラムがついている本
  • 指で読む(さわる絵本)
  • 市販絵本に点字をつけた本
  • 音の描かれている絵本に音声をつけた本
  • 「やさしく読める本」として特別に作られた本
  • 一般の市販絵本の中で「障害」を越えてみなが楽しめる本
  • 「障害」のある人物が描かれている本
  • 「障害」のある人たちのアートや文学作品
 この機会にたくさんの青森の方々がこうした絵本と出会えますよう、どうぞ皆様のお力をお貸しください。よろしくお願いいたします。


青森県語り手連絡会会報「わらしべちょうじゃ」第39号より